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CAR ILLUSTRATION

HOW TO PAINT

コンピューターグラフィック全盛のこの時代に煩しアナログ制作ですがタミヤ模型の 「SUBARU IMPREZA STI」を例にイラストレーション製作過程を紹介します。

 

プラモデルのパッケージイラストは中身のプラモデルの 完成見本図であると思います。

ですから明るい空が映りこんでいるボンネットのわずかな面の変化や逆に真っ黒につぶれてしまう陰になってるタイヤのパターンや足回りの部分などでも出来る限り形状は表現することです。

イメージ的なイラストだと省略して描く場合が多いですが、パッケージイラストではあまりそれはありません。

ということは紙の白を残した部分が少なくなり真っ黒な部分もなくなります。つまりコントラストが弱いメリハリのない絵になリ易い状況です。

 

そんな中でいかに訴求力のあるインパクトのある、アートとして完成度の高い絵に描くかが一番のポイントです。

プラモメーカーからの依頼で描くべき車のアングル写真はきめられて、他にも室内、ヘッドランプ、ホイールなど部分写真が取材されて提供されます。

レーシングカー等はいろいろな車の雑誌なども資料となります。市販車ですとディーラーに出向いて自分の目でも取材します。それらを元に下きを描きます。

車種にもよりますが車高を少し下げたり、ワイドにしたり車の特長となるリア-ウィングを少し大きくしたり、フェンダーを膨らましたりします。 

レーシングカーなどでは特定のスポンサーのロゴマークを大きくはっきりしたり……。  (これ言っちゃあまずいかなあ)

下書きをチェックしたあと今度は色鉛筆で簡単なカラースケッチを描きます。ここで光線の具合、映りこみの具合、ボディーカラーの変化などを決めます。

白っぽい車は光線の方向と陰をしっかりと設定しておきます。濃い色の車は影があまり出来ませんが映りこみをしっかりと描き込んで車のメタリックな感じを出します。 

参考とする資料写真には隣の車や周りの景色が煩雑に映りこんでいますので、それらを少し整理します。 

ボディーとウィンドウガラスの映りこみ等がよく見ると不自然なこともありますが、絵的によければそちらを優先することもあります。

 

ボンネットや屋根には空の色が映りこみます。  空の青色も赤っぽい色から地平線付近の緑っぽい色まであります。 その色とボディー色との微妙な変化を表現します。

  

またフェンダーの下部にも路面などの映りこみがあります。ここでもボディーカラーと路面との色が微妙に変化しています。参考資料写真の良し悪しや、ここでの設定が最終的な絵の完成度を大きく左右してくれます。

下書きのトレーシングペーパーの裏面を6Bなどの鉛筆でカーボン紙のようにします。そしてイラストボードにトレースダウンです。鉛筆の線があとで残ってしまわないように白いボディーなど明るい部分は薄く、ヘッドランプのガラスカットなどは鉛筆の線を濃く描いてわずかに生かします。

最近のヘッドランプこれまた複雑な形状になってきましたね。(泣)

 

 

B3からB2サイズの クレセントイラストレーションボード #218=表面の毛羽立ちが少なく マスキングシートをはるのには適してるんですが2ミリと薄いのしかないのです。

リキテックス絵の具はエアーブラシを中心に使用。  アクリルガッシュは細い線など筆で使用。

あと、マットメデュウムをエアーブラシのときに少し混ぜてます。マスキング材はToo社のマットの低粘着フリスケットフィルムと0,08ミリのアセテートフィルム。0,25ミリのハンドピースガン。

以上の画材具を使用してます。
 

いよいよ着色です。どこから塗り始めるかはイラストレーターによってそれぞれです。私はいくつかのオブジェクトに分けて、室内、 ヘッドランプ、タイヤホイールボディーの順ですかね。

これは面積の小さい、黒い色の多い部分が先です。最後のボディーを塗るときにこの先にぬってある部分とバランスを比べながら塗ることが出来るのです。

 

また室内やヘッドランプなどはあまり光の方向や映り込みなどをそれほど考慮しなくてすみます。

全体をフリスケットフィルムでマスクして大まかなオブジェクトにカッティングしソフトなエッジのマスキングはアセテートフィルムを使用しそれぞれを90%位の完成度で仕上げていきます。

 

プラモのセットには室内部品もある場合が多いので内部もしっかり描きますがフロントガラスを通して見える室内は結構暗く描きます。これで車全体が引き締まって見えてきます。 

しかしガラス全体を濃く描くとガラスがないようにも見えてしまうことがありますので一部に空の映り込みなどをいれてガラスの光沢ある質感を強調します。

リキテックス絵の具の エアーブラシよる着色で注意するのはマスキングシートをはがすときの絵の具のはがれです。

  

それで目的の色の絵の具をしっかりと吹き付けます。たとえば黒い絵の具を薄く吹き付けグレーにするのではなくてグレーのその色を作り吹き付けるのです。

またリキテックス絵の具溶剤マットメディウムを混ぜるとあとでマスキングシートによる絵の具のはがれが起きにくくなります。

マスキングシートは絵の具はがれを防ぐために低粘着性のものをさらにフィキサチフ(パステルなどの定着液)を軽くスプレーして粘着性を弱くします。この加減はイラストボードの目の粗さにも関係してきます。

ボディー色の着色ですが一番慎重に気を使うところです。まずラジエタ-グリルなどの真っ黒な部分を塗っておきます。

これはタイヤなど下回りを先に塗る事と同じですが、後でボディー塗る時にこの黒い部分と比べながらバランスを見るためです。 

次に基本のボディー色の絵の具をしっかりと作ります。そして空の色 (今回はブルーのボディカラーですが赤いボディー色なら赤と空のブルーの混合色。つまりピンクから紫色を。黄色の車なら黄色とブルーの混合色の緑色となります)を含ませた明るいボディー色をボンネットやルーフ部分に一気に塗りこまず60%の完成度にとどめて塗っていきます。

 

そして他のボディー色部分の塗り込みです。車の前部,ヘッドライトやラジエターグリル周りなどこの絵のポイントとなる部分はしっかりと鮮やかなボディー色を塗ります。

またボディーサイドは 前後の距離感を出すために後部のほうは少し軽く塗ります。

これはタイヤも同じです。そして車の周りの路面等の映りこみの色(土とか芝生の色とか)を加えておきます。これで単調な色彩の側面に変化が出来ます。

とりあえずひと通り塗り終わったら,一度マスキングを剥がして全体のバランスを見ます。

さらに少しづつボディー色を引き締めていきます。面倒ですが少し塗ってはマスキングを剥がし体のバランスを見ては色を加えていきます。

特に軽めに描いたボンネットやルーフは慎重に。細かな形状や映り込み等を塗り加えていきます。どんどん絵が引き締まってきて楽しくなります。

下描きではボディーへの映りこみをシンプルに整理してしまいましたがポイント部分では細かい具体的な映り込みを描き加えます。(周りの木々や建物、ドアミラー等をフェンダーに映り込むように)そうするとぐっとリアル感がでてきます。

今回は市販車ですがレーシングカーなどはこの後いろんなカラーリングやらステッカーの文字を描き込みます。

車の複雑な形状に沿った複雑な模様や文字やらの描き込みはかなり大変です。

英文のスペルなども間違えないように。かなり小さな文字まで描き込みます。

最後にポイント部分のハイライトを強調し完成です。

私の場合,長時間絵を描き続けているとのめりこみ過ぎて色味が偏ってしまったり描きこみ過ぎたりすることがあります。

ですから途中で何度も絵を遠目でじっくり見たり、鏡に映して反転して見たり、他の絵を見たり客観的に見るようにしてます。それでも思うようにはなかなか描けずに満足のいく作品は半分もありません。

このページが絵を描く方々の役に立てば嬉しいですね。描いたら送ってみてください。

また質問とかあれば遠慮なく寄せてください。

 

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